Apple製品のアクセシビリティ概要

主なApple製品とアクセシビリティ

高橋真樹

はじめに

Macintosh,iPod,iPhoneなどに代表される多くのApple社製品には、以下のようなアクセシビリティ機能があります。
ここでは、これまでApple社製品をご使用でなかった肩に、これらMacintosh,iPod,iPhoneのアクセシビリティのごく基本的な情報についてお伝えします。

1.Macとアクセシビリティ

1-1.VoiceOver

バージョン10.4以降のMac OS Xには、Macの操作を可能にするための英語の音声インタフェイスであるVoiceOverが組み込まれています。
またUSB接続できる点字ディスプレイにも対応しています。

VoiceOverは複数の言語に対応していますが、日本語で使用するには対応する音声エンジン(ドキュメントトーカー)が必要です。

[command+F5]でVoiceOverの有効/無効を切り替えられますが、これを有効にすると、Webページやテキストファイルの内容の読み上げや点字表示、コンピュータ上の作業領域や実行中の処理についての音声や点字による説明が可能になります。
この場合、ボタン、スライダの移動、チェックボックスなど、マウスの代わりにキーボードで操作できるようになります。

日本に住む画面読み上げをご使用の視覚障害者が独力でMacをセットアップするには、まず英語モードで起動し、VoiceOverを有効にしたうえで初期設定を行い、ドキュメントトーカーのインストールまでを行うと現実的です。

1-2.Mac OS Xのその他のアクセシビリティ機能

[システム環境設定]の[ユニバーサルアクセス]から、

  • 画面表示を、白地に黒から黒地に白に変更
  • ディスプレイの表示を、2倍から16倍まで拡大
  • マウスの代わりに、テンキーでマウスポインタを移動
  • 同時に複数のキーを押さなくても、押したものとして処理

といったような機能が搭載されています。

2.iPodとVoiceOver

曲名、アルバム名、プレイリストを音声で読み上げることができます。第5世代のiPod nano,第3世代のiPod shuffleなどで使用できます。

たとえば、第3世代のiPod shuffleの場合、iTunes上からVoiceOverを有効に設定して取り込みたいCDを取り込むと、曲名やアーティスト名やプレイリスト名を日本語で読み上げ、再生・早送り・次の曲の再生など、イヤフォンの操作部からそれらを操作できました。

3.iPhoneとアクセシビリティ

3-1.VoiceOver

画面に触れると、触れたアイテムの説明をVoiceOverが音声で読み上げます。ダブルタップ、ドラッグ、フリックといったジェスチャーでiPhoneを操作できます。

VoiceOverは21カ国語を話すことができ、iPhoneに組み込まれているすべてのアプリケーションと連係します。

さらにVoiceOverは、ローターと呼ばれる仮想コントローラを備えています。画面に二本の指で触れて、ダイヤルを回すようにしてローターを回転させると、選んだ設定をもとに、VoiceOverが文書を読み上げる方法を変えることができます。
たとえば、テキストを一語または一文字ずつ読み上 げるように、といった設定ができます。

3-2.ズーム

iPhoneのズーム機能を使って、すべてのアプリケーションの画面全体を拡大表示できます。上下左右に移動して、見たい部分を最大5倍まで拡大して表示できます。

ズーム機能は、ホーム、ロック解除、Spotlight を含むすべての画面、そしてすべてのアプリケーション、さらにApp Storeから購入したアプリケーションでも使えます。
ただし、VoiceOverとの併用はできません。

3-3.黒地に白

ディスプレイを白黒反転させ、ハイコントラストで表示させることもできます。

この設定は、すべてのアプリケーションのほか、ホーム、ロック解除、 Spotlight画面でも使用できます。
ズーム、VoiceOverとの併用も可能で、視力の低い弱視者には有効な機能です。

3-4.モノオーディオ

片方の耳が聞こえにくいような方の場合は、チェックボックスをタップして左右のオーディオチャンネルをひとつにまとめ、左右どちらかのイヤーバッドで聴くことができます。

最後に

今回Apple製品について調査して、これまではほとんど使用できないのではないかという先入観を持っていたApple製品が、現在では以外とそうでもないことがわかりました。

それで、第3世代のiPod Shuffleを購入したのですが、VoiceOverを使用すると、結構快適に使用できます。
これは、画面が付いておらず、視覚障害者でなくても画面を見ながら操作することができません。ところが、VoiceOverを使用すると、より確実に操作できるようになりますので、VoiceOverは視覚障害がなくても便利です。

現時点では、Apple製品が視覚に障害があってもすべての機能を快適に使用できる、とまではいえない部分もまだありつつも、将来を期待できる製品ではないか、試しにMacも手に入れてみたい、などと思えるような製品ではあると思います。