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Re: Linuxマガジンの佐々木氏の記事中の Emacspeakへのコメント
- To: SASAKI Taroh <taroh@taroh.org>
- Subject: Re: Linuxマガジンの佐々木氏の記事中の Emacspeakへのコメント
- From: WATANABE Takayuki <takayuki@la.shonan-it.ac.jp>
- Date: Mon, 30 Oct 2000 23:18:54 +0900
- Cc: BEP ML <bep@argv.org>
- Delivered-To: mailing list bep@argv.org
- Mailing-List: contact bep-help@argv.org; run by ezmlm
佐々木 様、
CC: BEP
渡辺@湘南工科大です。
On Sun, 22 Oct 2000 05:05:35 +0900, SASAKI Taroh wrote:
> 雑誌で紹介するとなると、
> LinuxのRPMとまではいいませんが、ある程度読者の方が簡単に入手・
> インストールできる状態にないといけません。
>
> その意味でBEPの皆さんには期待しておりますが、まだ公開の予定は
> ないのでしょうか。
早く公開せねばならぬと思ってはいますが、我々の力不足のために、
なかなか一般公開できるところまで進みません。
# Linuxコミュニティーには優れたハッカーがたくさんいらっしゃるので、
# 協力していただけないかな、などと思ったりもしています。
> 何せ調べた時点でのEmacspeakの開発状況から(実はその後で私の
> 感触以上にあちこちでEmacspeakが注目されていることも知ったの
> ですが)、この後の回で何かと『抱き合わせ』で紹介しようと
> 考えていました。しかし連載の一回分(以上)の要件を満たすので
> あれば、きちんとしたテーマとして紹介したいと思います。要件と
> いうのは(内部事情的な話ですみません):
1回分とる価値はあると、個人的には思います。(かなり、ひいきしています)
> ・多数の読者が(?)興味を持つであろう……私はごく特殊な
> 読者層に必要(人気)であっても、紹介すべきものは紹介
> すべしと思っています。要はどう編集者を説得できるか
> なのですが(笑)。
> また実際にインストールして実用に役立てる人が多いと
> 多くないとに関わらず、Emacspeakは十分衝撃的な話題だと
> 思っています。
(Bilingual) Emacspeakは、CやLispなどのソースコードを、コメント文用の声、
キーワード用の声、クオート文字列用の声、など複数の声を使い分けて読みま
す。 Emacsがいろいろな声で喋るのを聞くと、晴眼者でも音声表現の豊かさを
感じます。誰もが未経験の事なので、Emacsがべらべら喋るのを聞くのはある
程度衝撃的ですし、面白いと思います。(ひいきめかな…)
> ・上に書きましたが、インストールなどが(ある程度)容易で
> あること……Linuxユーザ(読者)がfreeのUNIX系ユーザの
> 中でも『あなた任せ』率が高いことによります。これは逆に、
> 難しければ難しいで記事のボリュームが増える原因になり
> ます。あと、Emacspeakは正直言ってデバイスがらみの差異が
> かなり問題になってくるのが難しいところです。
オリジナルのEmacspeakはrpmもDebian用のパッケージもあります。
Bilingual Emacspeakはまだrpmまで手が回っておらず、古典的な makeでイン
ストールしますが、難しくはないと思います。(でもGUIのインストーラー
しか使ったことがない人には難しいでしょうね。)
(Bilingual) Emacspeakで問題になるのは、スピーチサーバです。Emacspeak自
身はEmacs Lispのパッケージですので、どこでも(Windowsでも)動きます。ス
ピーチサーバーは外付けのハード音声合成装置とソフトウェア音声合成装置が
あり、ハードウェアの音声合成装置はそこら辺に転がっているものではないの
で、一般向けにはソフト版が対象になると思います。オリジナルEmacspeakは
ソフトウェア英語 Text-to-Speechエンジンとして IBMの ViaVoice Outloudを
使います。これはフリーではありませんが、ベータ版を自由にダウンロードで
きます。我々 BEPで一番問題になっているのも、このスピーチサーバーの部分
です。実は日本語のTTSエンジンはこの世に存在しないのです。我々は、クリ
エートシステム開発(株)の日本語音声合成開発キットを使ってBEP用の日本語
スピーチサーバーを開発しています。(したがって、日本語TTSはオープンソー
スにはなりません。)今はまだ日本語しか喋りませんが、日米2カ国語を喋る
ようにする予定です。英語にはViaVoiceか、あるいはフリーのFestivalという
英語 TTSを使うと思います。ちなみに、Windows版のBilingual Emacspeakは
Microsoft Speech API対応の TTSエンジンを使っていて、既にバイリンガルに
なっています。ただし Windowsでもフリーの日本語TTSは事実上ないのです。
> ・組み合わせアプリケーション(?)について……私自身あまり
> 調べていないのですが、Emacspeakを活用できるmail tool/
> web browserなど、アプリケーション(?)側の対応がどうなって
> いるかが、かなり実用記事か興味本位かを分ける要因になると
> 思います(繰り返しますが興味本位といっても興味が沸くこと
> は重要であり、私個人は否定的な意味では言っていません)。
同封のEmacspeak_packages.txtを見ていただくと、ファイル名からEmacspeak
がサポートしているアプリがわかると思います。メールはRmailもMew(Mewは
Bilingual Emacspeakのみ)もあります。WebはW3があります。その他にも五目
並べも出来ます。Emacspeakは、作者のRaman博士が自分が知的活動をするため
に作ったシステムなので、我々がしたいようなことはたいてい入っています。
何でも出来ますといっても言い過ぎではありません。
Bilingual Emacspeakでは、このほかにもYaTeXやYaHTML、Wanderlust、
lookupなども音声化しようとしています。
> 記事としては『声が出るという付加価値によって、多少
> 不便な(? であったとしても?)Emacs上のアプリケーション
> がピカ一のツールになる』という切り口だと最高です。
> そうなれば3回連載にしたいくらいです(笑)。
これは私も興味を持っているテーマ、つまり視覚障害者用の音声化システムを
晴眼者も使うことが出来るか、あるいはどう工夫、どんな機能を追加すれば、
両者ともに使いやすくなるのか、です。ただし、音声読み上げは時間がかかる
ので、余分な情報まで音声化してしまうと必要な情報を取得するのにものすご
く時間がかかってしまいます。Emacspeakはそういう意味で寡黙なシステムで
す。晴眼者がそのまま音だけを頼りに使おうとすると、音声フィードバックが
少ないのでかなりしんどいですが、晴眼者は眼でカンニングできるので、視覚
と聴覚を併用するならばEmacsが使いやすくなる方向に行くのではないかと考
えています。要するにマルチモーダルインターフェースですね。そういう意味
でナウいテーマです。
> 今後もこの件に関して取材させていただくにあたり、ご協力をお願い
> (恥ずかしい間違いがないか、など)すると思いますが、よろしくお願い
> いたします。
こちらこそ、よろしくお願いいたします。
ご参考になれば幸いです。
Emacspeak_packages.txt