拝啓
視覚障害者が使うことのできるWindowsコンピュータ環境は特殊である。画面を読み取るためのソフトウェアがインストールされていたり、画面を拡大表示するソフトウェアがインストールしてあったり、画面の配色を変更してあったりと様々なチューニングがされている。これはこのようにチューニングしなければ使えないことを意味している。
さて、外出先でどうしてもコンピュータを使わなければならなくなったとしよう。急いで書類を作成しなければならない、作成したものを印刷しなければならない。そんなときに便利なのがネットカフェである。一通りのコンピュータ環境と飲み物などのサービスが付いている。
ところが当然のことながらネットカフェのコンピュータは視覚障害者が使えるようにはチューニングされてはいない。つまり、ネットカフェは使うことのできないお店だったのだ。
さて、つい先日そのネットカフェに行って、画面読み取りのソフトウェアを起動して使うことができたので、その簡単な記録を書いておこう。ほんの少しだけお店の人に手伝ってもらう必要があるかもしれないけれど、十分に使うことができた。
環境など
使ったスクリーンリーダーはNVDAである。このスクリーンリーダーは、USBメモリーに本体を入れておけば、コンピュータにインストールすることなく使うことができる。実にネットカフェ向きのスクリーンリーダーと言えるだろう。
行ったネットカフェのコンピュータにはWindows XPがインストールされていた。事前に店員に「なにかやってはいけないことはありますか?」と質問してみた。答えは、「なにをインストールされてもかまいませんが、再起動するとすべて消えてしまいますから、インストールの際に再起動が必要なソフトはインストールできません。」とのことだった。要するにJAWSはだめである。
ファイルの取得
事前にネットカフェに行くことが分かっているのなら、USBメモリーにNVDAを入れておけばよい。ところがそうも行かないこともあるだろう。
ネットカフェのコンピュータ以外に自分の手の届くところにNVDAをダウンロードできそうなコンピュータやスマートフォンがないのならば、諦めて店員に手伝ってもらうことになると思う。が、私はiPhoneを持っていた。
そこで、iPhoneでNVDAをダウンロードして、DropBoxに措いた。こうすると、直接ダウンロードできる比較的短い(ような気がする)URLが得られる。
ネカフェのコンピュータを起動。どうやらXPが起動したようだ。おもむろに、Windowsキーを押しながらRを押す。「ファイル名を指定して実行」っていうダイアログが表示されているはず。narrator と入力してみよう。英語でなにかしゃべり出したかな?
もう一度Windowsキーを押しながらRを押す。「ファイル名を指定して実行」のダイアログに、先ほどiPhoneで取得したNVDAをダウンロードするためのDropBoxのURLを慎重に入力。うまくいかないと404っていう英語の悲しいメッセージが聞こえる。辛抱してやり直そう。
どうやらアクセスできた。おそらくセキュリティダイアログが表示されている。通常ならAltキーを押しながらRで実行できる。実行できてしまえばこっちのもんだ。状況によってはもう一度Altキーを押しながらRを押さないといけないかもしれない。ダウンロードのためと実行のための2回だと思う。
正直、この部分だけ店員に手伝ってもらうのが合理的だろう。時間のかかる作業ではないので断られることは少ないと思う。
無事実行できれば、インストールの音楽が流れるだろう。後はポータブル版をUSBメモリーに作るように操作する。これで再起動しても大丈夫。
追記
NVDAの起動は、下の手順で行う。
- Windowsキーを押しながらRを押す。
- e:\nvda\nvda のように、USBメモリーのドライブ名とポータブル版を入れた場所を入力してエンターキーを押す。
ここで問題になるのは、USBメモリーがどのドライブになるかだ。しょうが無いから、Dから順番に試していく。Fくらいまでにはきっとあるだろう。
さて、これでWordも使えるし、IEも使える。ネカフェでシャワーでも浴びるとするか?