繊細なピアノの音を感じる

つい最近NHKのテレビで「ピアノの詩人ショパンのミステリー」という番組が放送された。ピアニストの仲道郁代さんが、ヨーロッパを旅しながらショパンの書いた楽譜を見たりその時代のピアノを演奏したりしながら、ショパンの音楽を紹介していく番組だった。

これに触発されたわけでもないが、ショパンが生きていた時代のピアノを使って演奏したディスクを購入してみた。私がショパンを買うのはかなり珍しいことだ。

大きな音を出すことにおいて、現代のピアノはショパンの時代のピアノとは比較にならない。音の持続時間においてもその時代のピアノは現代のピアノの足元にも及ばない。それでもだ、なんとも繊細な響きが美しい。現代のピアノでは一様に派手になってしまう(ショパンの音楽はそうなんじゃないかと思っていてあまり聞かなかったのだ)かれの音楽が、陰影に富んだ演奏になるから不思議だ。

当時のピアノを弾いた仲道さんも「こんなに柔らかな音が出る」と驚かれながらある場所では「深くて重たい音がする」と驚かれていた。「現代のピアノではショパンの繊細さを損なってしまうことがある、それを現代の楽器とニードの中でどう演奏するかがピアニストの考えることだ」というコメントをされていたのが印象的だった。

私の家には数は少ないが、数種類のピリオド楽器(時代物の楽器のこと)で収録されたピアノ曲がある。それぞれの個性を持っていておもしろいし、知っていたはずの音楽の違う一面を見せてくれる。ということで、ショパンファンの方は、こういうのもおもしろいかもよ。とりあえず新しいものから並べてみよう。