ライブ版のクオリティはどうだ? 遊佐未森のライブDVD

先日遊佐未森さんのライブDVDが発売された。高校生の時に後輩が聴いていたのでこの人の雰囲気は知っていた。社会人になってもときどき出会っていた。最近オークションやらでアルバムをそろえてみたのだ。不思議な透明感のあるボーカルと、不思議な世界の歌詞だ。完成がそもそも不思議だ。

このライブは、今年の七夕に行われた“ササノハ オトノハ ~七夕夢一夜~”というライブを映像化したもの。小編成のバンド演奏になっている。彼女もピアノを演奏している。演奏のクオリティは高い方だろう。

さて、スタジオでレコーディングされたものの総合的クオリティとライブ版の総合的クオリティはどちらが高いか、これは大変な議論になるだろう。スタジオ録音では、演奏は納得がいくまで吟味されるし、音質も納得がいくまで調整される。ライブ版ではその瞬間が記録されることになるので、最良の演奏でないこともあるし、最良の音質でないこともある。収録された会場によってはそれは顕著に表れてしまうだろう。では、ライブ版の良さはどこにあるか。それはおそらく演奏者のテンションが伝わることだろう。

とある人のコンサートのアンコールで、それまでレコードで何度も聴いていた曲が演奏されたことがある。一応歌詞の意味は理解しているつもりだったのだが、そのアンコールの演奏を聴いたときに、今までの理解がまるで間違っていたのではないか?と思う経験をした。そのくらい演奏者の思いがライブでは伝わる。ここがライブ版の最大のおもしろさだろう。スタジオではやらないアレンジや曲の構成もまた楽しい。

今回のDVDでは、主に中期から後期の作品が多く取り上げられ、シンプルだが力強い演奏とともに、彼女の今の思いがよく伝わってくる。アンコールで演奏された『ミント』は、スタジオ録音では感じられないストレートなメッセージを感じることができる。

とりあえずCD情報。