2週間くらい前に実家から連絡があった。去年渡したレコードプレーヤーがなにやら音が出ないんだとか。ちょうどつきあいのある電気店の人が来たとかで見てもらったのだそうだ。どうやらアンプの問題のようだ。それもそうだろうな。実家にあるアンプはPMA-780というDENONの古いものだ。アンプにD/Aコンバータを内蔵しているというもの。覚えている方はいらっしゃるだろうか。購入してから20年になる。少なくともスイッチ類やボリュームはかなり状態が悪くなっているのではと推測できる。
ということで、一つ適当なものを実家に送ろうかと思っていたのだった。で、これをいいわけにアンプを買い換えようかと思って(上記理由がなくても買い換えたよな、きっと)、気になっていたトライオードというメーカーのアンプを調べてみた。いやはや、おもしろい。どんな音がするんだか。
ちょうど1年前に友人のところで自作の真空管アンプを聴かせてもらった。こりゃ楽しそうだ。音もそうだが自作することそのものが楽しい。いつかは真空管、ということで頭にはひっかかっていたのだった。
さて、購入したのは、
TRV-A300SE
という製品。これは完成品である。それでも真空管を交換したりする楽しみはあるだろう。機能的には現在使用しているものの方が便利だ。なにしろリモコンが付いている。同時に接続できる機器の数も多い。それでもなにやら引かれてしまうのだ。
今年の大きな道楽のつもりで購入を決意することになった。どんな音を聴かせてくれるのか、なんとも楽しみである。某大阪のオーディオショップ曰く、「今よりは必ず良くなりますよ」。さて、どうなりますやら。
セッティングで若干注意しておくことを記しておこう。
- 真空管の保護用クッションをはずす
- 届いたときには輸送中の破損を避けるために300Bに緩衝材が巻いてある。はずすのを忘れるとたぶんまずい。熱で溶けるんじゃないかな?手前のカバーを上に持ち上げてはずすと、4本の真空管が確認できる。この奥の2本が300Bだ。手前のが6SN7だ。
- スピーカー端子の接続は間違えぬように
- このアンプは接続するスピーカーのインピーダンスによって接続方法が違う。端子は3角形が一組になっている。マイナスが3角形の頂点、プラス側がその下二つである。6Ωの端子が電源端子側、8Ωの端子がRCA入力端子側である。左右とも同じ配置だ。
- 火傷には注意を
- 真空管は触れば十分に暑い。せっかくカバーが付属しているので使った方がよいかと…。音に影響するかは不明。共振するほど大音量にはできないので、安心できるんじゃないかと思っている。ちなみに今はカバーをかけていない。見せびらかすためだ(笑)。たぶん三日もすればカバーをかけるだろう。
音が出た!8時くらいからごそごそして、ようやく現状復帰。CDプレーヤとHDDレコーダを接続してみた。現在聴いているのはリュートと歌のディスク。ルネサンスのものだ。印象は
- あれっ?演奏者が近い?!
- 言葉がはっきり聞こえる
- リュートの弦の音が美しい
という感じ。オーディオ的にどんな表現をするのかはよくわからない。このアンプは「音が透明だ、柔らかな音がする、小編成の音楽に向いている、ちょっと力感が足りない」なんて言われているが、「そうかいな?!」というのが私の印象。「透明」ってどんなんだろう…。もしこういうのを透明だというのだとすると、今まで聴いていたのはベールがかかっていた、ということになる。こいつなら楽器がどんなことをしてるのかもよく分かるんじゃないかと思う。「柔らかい音」ってどんなんだろう。むしろ実在感のある音だ。「あ~、こんな音録音されてた?」と思えるくらい。このリュートの感触を「柔らかな音」と呼ぶのかな?
とにかく音が出てから2時間。これから一月後にどう化けるかな?
さて、その後このアンプは出力管の300Bを交換して使っている。今はJJというメーカーのもの。付属しているものも良い物だと思うのだが、やはりこれはひと味違う。
300Bという真空管はそもそも今から60年以上前に、映画館の音声用に作られたのだとか。オリジナルはウェスタン・エレクトリックというアメリカのメーカー。このメーカーは今でも300Bを復刻生産しているがその値段がとんでもなく高い、わしら貧乏人には買えない(笑)。ということで、そこそこの値段で買えるのが中国製・ロシア製・チェコ製となる。それでもけっこう良いと思うんだが。