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PDFファイルを読み上げさせる



WIT MLのみなさま

井上@リコー、井上@ARGVともうします。

湘南工科大学の渡辺先生より、PDFファイルを視覚障害者が読む方法についての
問い合わせを受けました。
私が知る範囲で書かせていただきますので、参考にされてください。

PDFファイルの内容を読む方法は、日本では大きく2通りがあります。
一つはスクリーンリーダー(98Reader/PC-Talkerなど)のクリップボード読み上
げ機能を有効にした状態で、PDFファイルをアクロバットリーダーで開き、そこ
でテキストのコピー操作(CTRL+A, CTRL+C)を行って読み上げさせる方法です。こ
の方法は内容のテキストのコピーが許可されている場合のみ可能です。商用のマ
ニュアル等の中にはこの方法では読めないものが多く存在します。

もう一つはAdobeが提供するAcrobat Readerのアクセスプラグインを利用する方
法です。
http://access.adobe.com/
よりAcrobat Access Pluginを入手し、Acrobat Readerとともにインストールし
ます。この状態でAcrobat Readerからpdf文書を開き、特定のキー操作をすると、
PDFの内容をカーソルキーを用いた移動に伴って(エディタのように)読むこと
ができるビューが開きます。これだとPDF上のハイパーリンク等も利用できます
し、コピーが許可されていない文書でも閲覧できます。
ただし、この方法で現れるアクセスビューは英語だと問題ないのですが、日本語
では文字の間に半角スペースが挿入された形となってしまいます。これではスク
リーンリーダーはたどたどしい読みしかできません。
これと画面上のテキストキャプチャ機能を持つアプリケーション、及び半角スペー
ス削除用の簡単なプログラムを用いて読みやすいテキストを抽出して後で読むと
いう方法もありますが、かなりの手間を要します。

また、いずれの方法でも数式等は読み上げできないはずです。

結局のところ、特に日本語ではPDFのアクセシビリティはかなり限定されたもの
になっています。
Adobeの日本法人にもこのあたりをサポートしていただくことができれば非常に
うれしいのですが、そのような働きかけがなされているかどうかはわかりません。

ついでに書かせていただくならば、HTMLで論文等を提供する場合、数式を画像で
表現される場合が多いのですが、可能ならばそのALTテキストとしてTeXの数式ソー
スを埋めておいていただけると非常にありがたいと最近感じます。おそらく新し
いJLatex2HTMLを用いればそうなるのではないかという気がしています。

以上、ご参考まで。

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                    Koichi Inoue, ARGV
                    E-Mail: inoue@...