黒猫の証言

我輩は黒猫。手足は白である。この街には我輩の仲間が多い。 その中で小さなアパートの2階に住むある男のことを毎日書こうと思う。 なぜその男なのか、我輩にもわからぬ。 この記述はいつまで続くかわからぬ。我輩がこの世から去るまで 続くかも知れぬが、明日で終わるかもしれん。もしかするとこれで 最後ということすら考えうる。まさに神のみぞ知るということか。

我輩のことをぐだぐだ書いてもはじまらぬ。例の男について書こう。 その男は我輩の住む町の小さなアパートの2階に住んでいる。 とりたてて優れているというわけでもない。 とりたてて悪というわけでもない。大学とやらに通っているただの すねかじりだ。

6月13日

今日やつは教育実習を終わってぼーっとしている。 どうせ生徒に偉そうなことを言ったのだろう。 最後の授業で時間をもらって長々と一方的に話したという。 何を言ったかほとんど覚えてもいないらしいが、飲み屋を開業した 同級生のことを話したことは覚えているようだ。 そいつは仕事を持ち、店を持ち、そして客という自分を支持してくれる 人を持っている。大学にも行かず社会的には高卒のただの男だが、やつは うらやましく思うといったらしい。

6月14日

津田沼の本屋で、井深大の通訳だった浦出善文の「英語屋さん」という 本を衝動買いし読んでしまったようだ。そのあと英検の教本を買っていた。 なにかと影響されやすいやつだ。

そういえば巷は選挙選挙とうるさい。これから選挙という大義名分の上に 朝から晩まで騒音を撒き散らしながら走り回るのだろう。迷惑なことだ。 今日は学校の帰りに志井という共産党とやらの得体の知れぬ政党 の幹部がしゃべっているのを聞いたらしい。 そのあと共産党系新聞の記者から取材を受けたと自慢していた。 別にえらくなったわけでもあるまいし。まぁそうあるものではないので うれしいのだろう。税制についてはえらく具体的なのに教育について 全くといっていいほど具体性がないと記者に噛み付いたらしい。 記者に噛み付いてもしょうがないはずだが。 まぁその記者も教育についてつっこまずに、税制に話をそらしたようだから、 税制のことしか記事にする気がないのかも知れぬ。 その政党にとって教育は所詮政策上のおまけにすぎぬのだろう。 長くなってしまった。どうせ明日とも知れぬ命だ。問題ない。